おでこまわり(眉間と額)の「ボトックス」治療

「ボトックス」治療は、注入する位置によって、いろいろな肌悩みの改善に役立ちます。 今回注目したのは、おでこまわり(眉間と額)です。 おでこまわりにおけるどのような肌悩みをボトックスで解決するのか、どうすればより効果的なボトックス治療が受けられるのか、渡邊千春先生にうかがいましました。

教えていただく医師
教えていただく先生:千春皮フ科クリニック浦和・広尾院 総院長 渡邊千春先生

URL:https://chiharu-hifuka.com/ (2019/9/2 東京・広尾にも開院)

Q1.眉間や額のおでこのシワを気にして来院される患者さんはいますか?

A.おでこのシワは『老けて見える、疲れて見えるからなんとかしたい』、眉間のシワは『不機嫌に見える、怒って見えるのでなんとかしたい』と、男女問わず見た目の印象を気にされる方が多くいらっしゃいます。キレイになりたい、元気に若々しく明るく見せたいと望まれている方が多いと思います。
おでこの横ジワは表情ジワですから、日常生活で眉を上げる表情を何気なく繰り返したり、加齢により瞼がたるんでくると、瞼を十分に上げて目を開けることができず、額に力を入れたりすることでおでこに横ジワができてきます。
また、皮フがたるんで余ってきたり、真皮のコラーゲンやエラスチンが減少することで徐々に進行し、表情筋が緩んだ状態でも刻まれる様になります。
さらに、おでこが狭い方や一重瞼の方も、おでこに横ジワができやすいですね。眉間はつい目を細めるクセのある方に多く、神経質そうに見えるので最も治療を希望される方が多い部位です。            
若いうちはシワも一時的なものですが、年齢を重ねるうちにシワがそのまま残るようになってしまうので、早目のケアとしてボトックスを注射する方が増えています。

Q2.「ボトックス」を使ったおでこの横ジワや眉間の治療法を詳しく教えてください。

A.おでこの横ジワの治療では、基本的にはまず患者さんに眉を上げて目を大きく開いてもらったり、おでこにシワを寄せてもらいます。それからシワの目立つ部分を中心にシワの寄り方を確認しながら7ヶ所~9ヶ所、バランスよくボトックスを注入します。
おでこの下の方のシワ治療をする場合は、眉毛の下垂がおきないように皮内に浅めに注入するようにします。より自然な仕上がりを望まれる場合は全体的に浅めに注入することで、極端にシワが止まり過ぎないように調節します。加齢で瞼が重く垂れてきてしまい、目が開きにくいために額に力を入れてしまう方は、先に眼瞼下垂の治療をおすすめする場合があります。
眉間シワの治療では、患者さんに眉を強く寄せてもらい、シワを作っている筋肉の寄り方を確認し、基本的には左右の雛眉筋にそれぞれ2ヶ所ずつ、鼻根筋に1ヶ所注入します。シワの深い方、眉間のシワがおでこにまで広がっている方はその部位にも追加で注入します。

Q3. 「ボトックス」は、おでこ周りの治療でどのような効果効能があり、どのように作用してその効果が得られるのか、教えてください。(具体的にどのように作用して症状を改善するのか作用機序を教えてください。)

A.「ボトックス」とは天然の生成タンパク質で、筋肉を動かす神経から放出される、アセチルコリンという伝達物質をブロックする作用があります。このため、注入した部位の筋肉の収縮を抑制することにより、表情ジワを改善することができます。筋肉を動かそうとしても動きにくいため、シワがよりにくいということです。おでこ周りに注入することでシワが改善され、表情がやわらぎ、若々しく見えるという効果があります。
ボトックスは、そもそもは目の痙攣の治療薬として開発されたもので、アメリカでは1980年代末から眼瞼痙攣の治療のためにボトックスを使用していました。1992年には眉間の表情ジワに対する効果が報告され、その後、顔面のシワ取り治療薬として美容医療としての使用が急速に広がりました。日本では2009年に厚生労働省より眉間の表情ジワに対しての適応症を取りました。また、2016年には目尻のシワに対しての適応症を取り、2019年に日本国内販売10周年を迎えました。

Q4. おでこや眉間の「ボトックス」治療は、どのような方に適していますか?記事を読んだ方が「私のことかな?」と想像できるように、具体的に教えてください。

A.来院される方の悩みと同じかと思うのですが、シワができることで老けて見られてしまう、不機嫌そうに見えてしまう、神経質そうに見えてしまうなど、見た目の印象を変えたいと思っている方、ボトックスによるシワ治療は継続することにより将来のシワ予防もできるので、シワがこのまま定着してしまうのがいやだという方、アンチエイジングを考えている方など。
また、注射するだけなので短時間で施術が終わるため、あまり時間がない方でも受けることができます。

Q5. おでこの横ジワや眉間のシワの「ボトックス」治療は、どれほどの時間で効果を感じますか?

A.注入してから1週間ほどでしっかりとした効果が感じられると思います。ただ、3ヶ月~4ヶ月ほどで少しずつ消えていってしまうので、完全になくなる前に再度注入することをおすすめします。続けることで長期的な効果の持続が期待できます。
表情ジワは動かすことで大きくなり、定着してしまうので早めにケアすることで将来のシ
ワの予防になります。ある研究結果では、双子の片方に定期的にボトックスを注射してい
ると、していない片方に比べるとやはりシワの程度が軽く、歴然と肌に差が出ていました。

Q6. 「ボトックス」治療で、こういった症状が出ている、もしくはこのような体質の人には向かない、などございますか?

A.眼瞼下垂の方はその症状を悪化させてしまうおそれがありますので、眼瞼下垂の治療につ
いて別途相談が必要です。
また、前額部の横ジワ治療は効果を出すことのみに集中すると、過度の伸展により怖い顔
になったり、眼が開きずらくなるなど上顔面の印象に影響を与えるため、注入を上手く調
整することが必要です。
肌状態での症状ではなく、妊娠、授乳中、妊娠の可能性のある方。神経・筋肉疾患のある
方は受けられません。また、施術後2ヶ月は避妊してください。

Q7. おでこ周りの「ボトックス」治療のダウンタイム、注意点(治療後のケア)等はございますか?

A.注入した後、腫れぼったい感じや眉毛が下がった感じ、頭痛などが出る可能性があります。このような症状は個人差はありますが1ヶ月程度でなくなります。まれに、注入部分に内出血を起こす場合がありますが、1週間程度でなくなります。そして、眉毛の形に影響が出た場合はそこに関係している筋肉を弱めるために追加注入することがあります。
治療当日は飲酒や長風呂、過激な運動など、血流がよくなるような行為は避けてください。血流改善剤やアスピリン、サプリメントも控えてください。マッサージしたり、こすったりすることも避けましょう。
強い痛みや、内出血以外の強い赤みなどが注射部位にあった場合はすぐに連絡してください。
注射前に麻酔をする方は麻酔に対してアレルギーがあるか確認します。

Q8. おでこ周りの「ボトックス」治療の料金と目安の治療時間、効果効能持続期間を教えてください。

A.額は、麻酔なしの場合4,2000円。眉間は麻酔なしで3,5000円。施術時間は5~10分ほどです。麻酔する場合は20分ほどプラスしてください。
2週間後に必ずチェックに来ていただき、ボトックスの様子を見ます。その際に、追加あれば無料で施術します。
効果持続は3~4ヶ月ほど。切れる前に注入して継続することで、シワができにくい肌になります。

(本サイトの金額は全て税抜き価格です)

取材・文:中尾 慧里 / Eri Nakao

ビューティライター / チャイルドボディセラピスト
スキンケア、メイクなどの美容や健康に関する取材、執筆を中心に活動。雑誌、ウェブ、美容メーカーのホームページやリリースなど多岐に

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