「ピーリング」治療

美容クリニックの定番ともいえるのが「ピーリング」治療です。 古い角質を取り去ることで肌がツルツルになる、透明感が出るなどの効果実感が高いため、 昔から根強い人気を誇っています。昨今では新たなピーリング治療も増え、男女を問わずクリニックで施術を受ける人も多いそうです。そこで、「ピーリング」治療にも詳しい、渡邊千春先生にお話をお伺いしました。

教えていただく医師
教えていただく先生:千春皮フ科クリニック浦和・広尾院 総院長 渡邊千春先生

URL:https://chiharu-hifuka.com/ (2019/9/2 東京・広尾にも開院)

Q1. そもそも「ピーリング」とはどのような治療法ですか?

A.酸やアルカリなどの薬剤を塗布して、肌表皮または真皮を一定の深さで剥離させ、自然治癒の過程を利用した剥離施術です。使用する薬剤は、グリコール酸やサリチル酸、乳酸、トリクロロ酢酸などいろいろとありますし、それぞれ濃度も肌の状態や到達させたい部位によって調整します。薬剤の浸透度によりレベルⅠ~Ⅳに分けられますが、レベルⅠだと表皮角質層まで、レベルⅣになると真皮の上層までとなります。最もよく行われているレベルⅠのピーリングでは、皮膚表面の古い角質を取り去ることで肌細胞に刺激を与え、新陳代謝を促進させるというものです。
この治療の大きな目的としては、ニキビやニキビ痕の黒ずみ、軽度の瘢痕、新陳代謝が正常化されるので、くすみや毛穴、シミ、小じわ、軽いたるみなど、肌全体の改善が期待できます。

Q2.「ピーリング」治療は、どんな肌状態の人に適した治療法ですか?

A.妊娠中の方、薬剤にかぶれやすい方、乾燥がひどい方、アレルギーや花粉皮膚炎、ヘルペスを発症している方は治療できません。
当クリニックでは、主にニキビ、シミ、小ジワ、毛穴の改善、くすみや色素沈着、美白を目的として行う場合が多いですね。

Q3.「ピーリング」治療にはどのような種類がありますか?

A.当クリニックでは主に、 肌に優しいフルーツ酸などの弱酸を塗布し、肌表面の蓄積された
古い角質をゆっくり取り除く「ケミカルピーリング」、水流の力を利用して余分な皮脂や
角質の除去と保湿を同時に行う「ハイドラフェイシャル」、真皮層に浸透させる「PRX-T33
(マッサージピール)のコラーゲンピール」があります。

Q4.「ケミカルピーリング」、「ハイドラフェイシャル」、「PRX-T33(マッサージピール)のコラーゲンピール」など、タイプ別のピーリング治療についてそれぞれ教えてください。

A.では、各ピーリングについてお話しますね。
■ケミカルピーリング
肌表面の蓄積された古い角質をゆっくり取り除くことで肌のターンオーバー(新陳代謝)を促して、透明感のあるキメ細やかな肌に新しく生まれ変わらせる治療法です。
角質の状態が整ってくると肌のバリア機能が強化されるため、健康的で丈夫なお肌に改善されます。薬剤は、患者さんの肌状態に合わせて選んで調合します。
みなさん赤みが出たりするのは避けたいところですので、ダウンタイムがないレベルで施術します。
ピーリング後は有効成分が肌に浸透しやすい状態になっているので、イオン導入を併用することをおすすめしています。高濃度ビタミンC、抗酸化や保湿に特化したモイスチャー、トラネキサム酸などの用意があります。

■ハイドラフェイシャル
文字通りハイドラ=水流の力を利用した施術で、医療機関専用のピーリングマシンを使います。マシンから薬液が噴射されてチップの中で渦巻き状に回転しながら、皮脂や汚れを浮かしつつ吸引排出。薬剤濃度も7%程度ですし、水流を利用するのでマイルドな施術方法です。また、同時に美容成分をたっぷり浸透させることができます。毛穴の奥からすっきりし、肌がトーンアップします。

■コラーゲンピール
TCA(トリクロロ酢酸)による新しい治療法です。PRX-T33の主な有効成分は、過酸化水素(H2O2)、トリクロロ酢酸(TCA)、コウジ酸です。こちらの治療のターゲットは真皮層のコラーゲン増生。肌表面では強い剥離作用は起こさず真皮層にまで浸透させ、肌細胞を活性化します。ハリが出て小じわやたるみの改善を促します。同時に、配合されたコウジ酸がメラニン生成に働きかけて美白効果をもたらします。治療後は経皮吸収されるというホームケアのアイテムが必要になります。また、サーマクールやレーザー治療などのコンビネーション治療により、さらに肌をいい状態へ導くことができます。

Q5.各「ピーリング」治療は、どのようなお肌の方に必要ですか? 記事を読んだ方が「私のことかな?」と想像できるように具体的に教えてください。

A.古い角質を取り去って肌状態を整えるので、健康的でつるんとした美肌になりたい、肌の若返りをしたいという方におすすめです。カウンセリングで、どのタイプのピーリング治療をするのかご相談します。中でも、ニキビや肌のくすみ、小じわなどに悩んでいる方に受けていただくと高い効果を感じると思います。
「ケミカルピーリング」は比較的リーズナブルな設定になっているので、保険適用の皮フ治療と合わせて受けていただくと、より早い結果が得られるはず。また、ニキビ跡に悩んでいる方もピーリング治療は有効です。

Q6. 各「ピーリング」治療は、どれくらいの時間でどのような効果を感じますか?

A.どれも1度受けていただくと、その後すぐにツルツルとした感触を得られます。また、ハリ感が出たり、化粧のりがよくなったり、肌がクリアになったりといった効果を感じます。
どの治療もそうですが、1回よりも数回受けていただくほうが効果も長持ちします。5~6回ほど集中して受けていただくと肌状態が安定しますので、それ以降は月に1度のメンテナンスという感じで通っていただくといいと思います。
ひどいニキビの場合は、3ヶ月の間は2週間に1回のペースで受けていただくといいですね。

Q7. 各「ピーリング」治療で、副作用はありますか? あるとしたらどのような副作用がありますか?

A.薬剤はコントロールするので、副作用はありません。どれも肌が薄くなっているので、紫外線にはくれぐれも気をつけてください。ただ、年間を通してUVケアはしてほしいですね。
「コラーゲンピール」に関しては、2~3日薄く皮がむけることがあります。まれに赤みやカサつきといった症状が出ることもあります。また、コウジ酸に対する過敏症の方は受けられません。炎症を起こしていたり、バリア機能が低下している方は、トラブルが出やすくなるのでピーリング治療は受けていただけません。

Q8. 各「ピーリング」治療のダウンタイム、注意点(治療後のケア)等はございますか?

A.薬剤の種類や能動などはコントロールしますが、どれも赤みが出ることがまれにあるかもしれません。治療後のケアとしては、どれも紫外線ケアと保湿ケアを怠らないこと。
「ケミカルピーリング」は、治療前はカミソリによる顔そりは控えてください。

「ハイドロフェイシャル」は、施術前3日間はグリコール酸やレチノイン酸などが配合 されたコスメ、石けんなどは控えてください。

「コラーゲンピール」は、治療前は顔そり、日焼け、スクラブ洗顔などは中止してください。

Q9. 各「ピーリング」治療の料金と目安の治療時間、効果効能持続期間を教えてください。

A.「ケミカルピーリング」は、5~10分程度。クーリングパックとイオン導入を併用すると、それが10分程度です。1回8,000円で、22歳以下は5,000円です。イオン導入6回セットだと54,000円(ビタミンCもしくはモイスチャー)。6回セット2クール目が48,000円。3ヶ月間は、2週間に1回の施術がおすすめです。

「ハイドラロフェイシャル」は、約10分ほど。初回トライアルは18,000円、2回目以降は1回25,000円、5回セットで112,500円。5回セット2クール目が100,000円。
2~4週間に1回のペースをおすすめします。

「コラーゲンピール」は、顔・首・デコルテ・手の1ヶ所1回が16,000円、各5回セットが72,000円。2ヶ所は30,400円、各5回セットが136,800円。3ヶ所、4ヶ所の料金設定もあります。また、ホームケア化粧品として、グリコール酸配合美容液と保湿クリームが各9,000円で、初回施術時購入に限り各8,000円です。
1~2週間おきに5回の治療を1クールとして、その後は肌状態によって1~2ヶ月に1回を繰り返すことをおすすめします。

(本サイトの金額は全て税抜き価格です)

取材・文:中尾 慧里 / Eri Nakao

ビューティライター / チャイルドボディセラピスト
スキンケア、メイクなどの美容や健康に関する取材、執筆を中心に活動。雑誌、ウェブ、美容メーカーのホームページやリリースなど多岐に

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