飲む日焼け対策

紫外線のダメージはシミ、しわ、たるみといったエイジングサインの原因となります。 毎日の日焼け止めで紫外線をブロックすることはエイジングケアのひとつとして有効ですが、最近話題になっているものに「飲む日焼け止め」があります。 「飲む」ことがなぜ日焼け止めになるのか?  どういう成分で何がどう効果的なのか? 気になる「飲む日焼け止め」についてご紹介します。

教えていただく医師
教えていただく先生:野本真由美クリニック銀座 野本真由美院長

URL:https://ginza-skinhealthcenter.com/

Q 日焼け自体は肌にどのような影響を与えますか?

A
日焼けをすると、紫外線による慢性と急性の影響が出ます。急性の場合はサンバーンを起こし、クリニックで治療が必要になります。
一方慢性の場合、紫外線を浴び続けると、体内で酸化や糖化が発生します。いわゆる光老化と言われるもので、酸化や糖化などが原因でしわやたるみといったエイジングの問題が出てきます。

肌ではありませんが、皮膚科専門医、漢方専門医、アンチエイジング専門医という複合視点で診ると、紫外線は目にもダメージを与えることを知っておいていただきたいです。
例えば、日焼けすると疲れますよね? 目から紫外線が入ることで活性酸素が大量に発生するため疲れるといわれています。さらには、白内障など目の疾患の原因にもなるので、紫外線から目を守ることは実はとても大切です。
一般的に紫外線=悪というイメージがつきまとっていますが、実はよい面もあるんです。それは、皮膚がビタミンDを合成すること。ビタミンD不足になると、骨がもろくなり、骨粗しょう症のリスクが上がります。若いうちはいいですが、エストロゲンが減ってくる世代、更年期あたりになったら、日焼け対策しすぎや日光を浴びない生活は避けましょう。

Q.日焼けをしないための予防策にはどのようなものがありますか?

A.
皮膚科専門医の立場からだと、こちらには肌の弱い患者さんがたくさんいらっしゃいますから、塗る日焼け止めは最後の手段です。つまり、『肌から遠い順番』にケアをおすすめしています。
例えば、赤ちゃんでもできる日焼け対策を考えてみてください。赤ちゃんにSPF値の高い日焼け止めは塗らないでしょう? ですから、まずは紫外線が強くなる時間帯の外出を控えること。これが誰にでも簡単にできる日焼け対策の一手です。
そして、日陰を歩く。日傘を差したり、紫外線をカットするカーディガンなどの衣類を活用する。サングラスなどで目から紫外線が入るのを避けるというように、肌に塗る以前にできる日焼け対策をします。
なにより大切なのは食事。先ほどもお話したように、紫外線を浴びると活性酸素が大量に発生します。そのダメージを回避するためには、抗酸化力をつけておくこと。毎日の食事で抗酸化力の高い食材を摂っておきましょう。ほうれん草やパプリカ、トマトなど、はっきりした色の野菜は抗酸化力が高いといわれています。昨今では土地が痩せて栄養豊富な野菜が少なくなっていると言われているため、サプリメントや漢方などを上手に活用する方法もいいと思います。

Q.「飲む日焼け対策」とは何ですか? 飲む日焼け対策をすれば、日焼けしなくなりますか?

A.
よく誤解されていますが、飲む日焼け対策をすれば日焼けしないということではありません。
いわゆる日焼け止めとしての効果には、医学的根拠はなく、医学界でも認められてはいません。ただ、飲む日焼けケアは抗酸化サプリですから、皮膚ダメージの修復・回復を早めるサポートはします。
例えば日焼けして、紫外線を浴びて活性酸素が大量に発生したとします。そのままでいれば当然ダメージを受けてしまい、先ほどお話したように、肌には光老化によるしわ、しみ、たるみといった老化サインが出てきます。活性酸素を抑えるためには抗酸化力が必要。そのためには、常に体内で抗酸化力が維持されているほうがいいので、食事で抗酸化力をつけられない人は飲む日焼けケアを活用するのもいいと思います。

ただ、人によって抗酸化力は違います。そもそも100歳くらいまで病気もなく生きる人は、生まれつき内因性の抗酸化力が備わっている人。ほとんどの人はそうではないので、外因性というか、口から入れるもので抗酸化力をつけておくといいですね。
抗酸化力のない人が飲む日焼けケアを摂取すれば抗酸化力は上がりますが、もともと抗酸化力が高い人が飲んでもあまり効果は期待できないと思います。

Q.抗酸化力は低い人とはどんな人ですか?

A.
抗酸化力が低いというのは、過度のストレスを受けている人や薬を飲み続けている人、食生活が不規則な人などです。ですから、飲む日焼け対策には、日焼けによる赤みも多少は抑えられるという効果もあるので、飲んでいることに意味はあると思います。
中には、飲むサングラスというような、目の酸化データにいい結果が出ているものもあるので、目を保護するために飲むということはおすすめします。肌は回復させる手立てがいろいろありますが、目のダメージは戻らないので。

「飲む日焼け対策」を摂る前に、知っておくべきことはありますか?

A.
よく、飲む日焼け対策には、抗酸化力がビタミンCの何千倍とか書いてあったりしますが、数字はあまり意味がないのでこだわらなくてもいいと思います。
例えばビタミンCは、単に抗酸化力だけだともっと高い成分がりますが、ほかにもいい面がたくさんあります。それに、活性酸素が上がらなければ、抗酸化力も上がりません。血中濃度で見てみると、活性酸素と抗酸化力はシーソーのようにバランスをとっているものなんです。活性酸素が出るから抗酸化力が上がるわけで、活性酸素が出ない生活をしていれば、抗酸化力がたくさんなくても充分なんです。ただ、抗酸化力を上げておいたほうが、急なダメージに対応することができるので、常日頃から、必要量の抗酸化力はつけておいたほうがいいと思います。

Q. 「飲む日焼け対策」には、どのような種類がありますか?

A.
当院でおすすめしているのは、アスタキサンチン、ビタミンC、サンソリットの「U-Vlock」です。また、その人に合わせて漢方も処方します

Q.それぞれにはどのような効能効果がありますか?

A.
◆アスタキサンチン
抗酸化力が非常に高いといわれています。
皮膚だけでなく、目や腸内環境に対しても医学的データを持っています

◆ビタミンC
抗酸化力のほか、免疫力のアップ、皮膚のコラーゲン生成にも必要です。

◆U-Vlock
ビタミンCやビタミンDなども含有しています。

上記のどれも飲めば日焼けしないということではないので、抗酸化サプリとして、ほかの日焼け対策と併用しましょう。

Q. 「飲む日焼け対策」は、どのような方にお勧めですか?

A
抗酸化力を高めたい人ですね。
日焼け対策ということではなく、病気にならないためにも抗酸化力は必要です。食事に不安がある人、ストレス過多な人、薬を飲み続けている人、炎症が出やすい人など。シーソーのバランスが取れるように維持しておきましょう。

Q.「飲む日焼け対策」で、こういった症状が出ている、もしくはこのような肌質や体質の人には向かないというものはありますか?

A.
サプリメントなので、合わない人はいませんが、そもそも抗酸化力が高い人には必要ありません。ただ、その日だけ飲んでも効果は見えません。今日日焼けするから飲んでおく、というよりも常日頃から抗酸化力を上げておくために摂ることです。

Q「飲む日焼け対策」の注意点はありますか?

A.
繰り返しになりますが、飲むことで日焼けを防ぐわけではありません。
抗酸化サプリメントなので、日焼けによるダメージの回復には役立つと思います。ですから、飲む日焼け対策をしているだけで、日焼け対策をしないというのは間違っています。正しい知識を持って使いましょう。

Q.「飲む日焼け対策」の料金と服用目安時間、効果効能持続期間を教えてください

A.
アスタキサンチンは60粒 ¥4,703、ビタミンCは30包 ¥2,502、サンソリットの「U-Vlock」は30日分 ¥6,500です。
抗酸化サプリメントは、常に体内に抗酸化力をキープしておく意味でも続けて飲むことが大切です。だいたい、30日とか50日といった長い期間の服用での臨床結果が出ているので。活性酸素が出にくいように日々抗酸化力を上げておくことを考えたら、数ヶ月服用することでバランスがよくなってくると思います。

Q.「飲む日焼け対策」を服用する際の注意点はありますか?

A.
服用のタイミングの目安ですが、アスタキサンチンのような脂溶性のものは持続性が高いので1日1回、夜眠る前に服用するといいと思います。ビタミンCのような水溶性のものはいつ服用してもいいですが、その代わりこまめに摂りましょう。朝に大量に服用というよりは、1日3回に分けて。「U-Vlock」は1粒24時間効果が続くとされているので、1日1回の服用でいいと思います。

(本サイトの金額は全て税抜き価格です)

取材・文:中尾 慧里 / Eri Nakao

ビューティライター / チャイルドボディセラピスト
スキンケア、メイクなどの美容や健康に関する取材、執筆を中心に活動。雑誌、ウェブ、美容メーカーのホームページやリリースなど多岐に

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